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「クラウディオ・アバドの思い出」

二月にある大きなイベントの準備に追われ朝からカリカリと仕事をしていたのですが、そこへショッキングなニュースが飛び込んで来ました。
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それは今朝クラウディオ・アバドが亡くなったと云う知らせで、余りのショックに暫く轟然としていました。
昨年の夏から病気のためキャンセルが相次ぎ、楽しみにしていたウィーンでの演奏会も結局は代役を立ててキャンセルされてしまいました。

2000年に胃がんの手術を受けられその後は順調に回復されて年に数回とは云え演奏活動も慎重に続けておられました。
唯、今回は病気が長く続いていましたので心配をしていたのですが、再び復帰される事を願っていた音楽ファンの願いは叶いませんでした。

彼の音楽家として、教育者として、そして人として音楽界に与えてきた功績は計り知れないほど偉大なもので、それは多くの方々が語られる事と思います。

私個人の思い出も書ききれないほどありますが、最初に接したのはやはり彼のデビュー盤で、
それは60年代後半に発売されたウィーン・フィルと共演したベートーヴェンの7番と8番の交響曲でした。
それは若々しく溌剌としながらも正統的な演奏で、何と云ってもウィーンの良き時代の香りを漂わせた雰囲気の、
これからの活躍を大いに期待させるものでした。

その後、多くの録音がリリースされ、中でもグルダと組んだモーツァルトの20番と21番のピアノ協奏曲、
それに何と云っても「シモン・ボッカネグラ」は強烈な印象を与えました。

初めて生演奏に接したのはロンドン交響楽団と来日した折に文化会館で聴いたラヴェルとマーラーでした。
最初の「ラ・ヴァルス」では出だしからその怪しげで不思議な世界に引き込まれ、もう完全に虜になってしまいました。
後半のマーラーもグイグイ引き込まれ、あのアダージョの楽章ではまるで夢をみているようでした。

私もその後はウィーンやドイツで聴く機会が増えたのですが、中でも印象が深く残っているのは、
やはりウィーンで観た「シモン・ボッカネグラ」や「仮面舞踏会」のオペラでした。
それにマーラーの交響曲は特別で、9番や4番なども印象深い物でしたが、これもウィーンのムジーク・フェラインで聴いた
ベルリン・フィルとの告別演奏会での7番が大勢のアバド・ファンと共に思い出深い演奏会として刻まれています。

私のパスポートの最終ページにはサイモン・ラトルとマウリツィオ・ポリーニのサインが入っています。
それは偶然が重なっただけなのですが、最初は10年ほど前に出張でミュンヘンに来ていた折に偶々休暇で訪れていた
ラトルさんと寿司屋でバッタリと隣の席で出くわしました。

折角なのでサインをと思ったのですが、相応しい紙を持ち合わせてなくて、
考えた挙句これなら失礼にはならないかとパスポートを差し出しました。
「エッ・・・パスポートだけど良いの?」と云いながらもご機嫌良くサインを頂きました。

その数年後ケルンでポリーニからサインを貰う機会があったのですが、この時も偶々出張帰りでパスポートを持参していました。
ラトルがサインをしたページを開いて差し出した処、最初は怪訝な顔をしていましたが、ゆっくりと読んだ処、
ああラトルか・・・と云った感じでニッコリと笑ってサインをしてくれました。

その二人のサインの間にはもう一人分のスペースが空いています。
ここにサインを貰えばこのパスポートは完成するのですが、ここにできる人は唯一人、
それはアバドさんにしかできないと勝手に思い込んでいました。

私は決してサイン収集家ではないのですが、
12月の演奏会でもしアバドから貰う事ができたらこれでこのパスポートは完了と思っていました。

それは残念ながら叶うことはできませんでしたが、
彼の優雅な指揮姿、そして何よりも高貴な音楽は何時までも私の心の中で鳴らすことができるでしょう。

心からご冥福をお祈りいたします。

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by Atelier-Onuki | 2014-01-21 05:06 | 音楽 | Trackback | Comments(0)

「森のビア・ガーデン」で・・・

先週の火曜日にデュッセルドルフからミュンヘンに帰ってきました。
水曜が仕事初めだったのですが、緊急に決めなければならない重要案件が山積みで、
自分でも図面を作成したりデザイン作業も山ほどあって目が回るほどの忙しさでした。

やっと迎えた週末はお天気も良くポカポカと春を思わせる陽気でした。
北米では異常な寒波ですが、その反動なのか逆にヨーロッパは異常な暖かさです。
例年ですと雪が積もって2月一杯までは寒い冬を過ごすのですが。・・・

とは言え折角のお天気ですので昼食でもと散歩がてら南へ一駅分下り、
河原に面した高台にあるビア・ガーデンを目指しました。

そこはミュンヘンでは珍しくソコソコ美味しい料理で、夏場には時々訪れている所です。
名前も”Waldwirtschaft“(森の料理屋) と云ってちょうど森を抜けた所に建っています。
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さすがにビア・ガーデンは閑散としていますが、レストランに面したテラス席は満席状態で
皆さん膝に毛布を掛けて日光浴を楽しみながら食事をとっています。
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私も老夫婦が座ってる席に相席させてもらいました。
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さてと先ずはビール・・・それに「栗のクリーム・スープ」と「カボチャのタルト」・・・
これらは初めて見たので思わず頼んでしまいました。
しばし待つこと先ず栗スープが運ばれてきました。
まぁほんのり甘くて胃に優しい味です。

続いて出てきたカボチャ・タルトもサワー・クリームを付けて頂くとビールにピッタリ・・・
とても気持ちよく食事をすることができました。

ゆっくりと楽しんだ食後は何時もとは逆に川原を下流に向かって散歩を続けました。
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もう随分歩いたし、ちょっと日も陰って寒くなってきました。
このまま頑張って家まで歩くこともできたのですが、今日はバスに乗る事にしました。
それはこの川原の区間だけ走っているミニ・バスで私は「リス・バス」と勝手に呼んでいるのですが、
とても可愛い感じで大好きなバスです。

すぐにやって来たバスに乗り込むと、チビッ子二人を連れたお婆さんも乗ってきました。
「チケットはバスの中でも買えますか?」と尋ねています。
「買えるけど何処までですか?」・・・「次の停留所まで・・・寒くなってきたので駐車場まで行きたいの・・・」、
「だったらプレゼント!」、
結局バスは次の停留所を通り抜けお婆さんが駐車したゴルフ場の入口で臨時停車・・・
「気を付けてね・・・」の一言を添えて降ろされました。

いや~この国は本当に良い国だなぁと、改めて思わされました。・・・



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by Atelier-Onuki | 2014-01-13 02:33 | ミュンヘン | Trackback | Comments(0)

「新年とニュー・イヤー・コンサート」

皆様、新年明けましておめでとうございます。

毎年思うことですが、今年こそは平和で大きな災害のない良い年になる様にと、
又、個人的にも家族を初め、知り合いの方々の無病息災を願うばかりです。

まるで出稼ぎのお父さんの様にデュッセルドルフに戻ってきていますが、毎日ボーッと時間が過ぎています。
昨夜の大晦日は旅行から帰ってきた娘も含め、日本にいる娘以外は久しぶりに家族揃って夕食をとりました。

調子に乗って飲みすぎ酔っぱらてウトウトしていたら、大きな花火が炸裂する音で目が覚めました。
ありゃ新年に突入したようです。
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デュッセルの家は川原にも近いので大勢の人達が花火を上げにやって来て、ひっきりなしに飛び交う様はまるで戦場のような喧騒です。
大きな船は汽笛を鳴らしますし、近くの教会からは鐘が何時もより威勢良く鳴り響いて賑やかな年明けとなりました。

それが明くる朝には、この夥しい花火の残骸が殆ど綺麗に清掃されています。
まぁ毎年の事なのですが、市の職員が一斉に清掃するシステムはさすがと感心しています。

一夜が明け11時15分から「ニュー・イヤー・コンサート」のTV中継が始まります。

これは世界中に中継されTV番組としては視聴者の数が最も多いと云われています。
演奏会自体は11時から始まるのですが、生中継なので万が一何か事故が起こった場合に備えて、15分遅れで放送されています。

今年の指揮者はバレンボイムでしたが、まぁこれを観ないとお正月が来た気がしないので観ていました。
お天気も良さそうで天井に近い両サイドの窓からは明るい光が差し込んでいて、さぞかし気持ちがいいだろうなと想像をしていました。
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それにステージを初め会場のあちこちにはサンレモ市から贈られた花々で飾られ一際心地よい雰囲気を盛り上げています。
昔は終演後これを自由に摘む事ができ、楽団員の人たちも混じって微笑ましくのどかな光景だったのですが、最近は世知辛くなって禁止となっています。

演目はニューイヤー・コンサート初登場の曲も含め、余り馴染みのない曲が殆どでしたが、一曲だけ「ウィーンの森の物語」が取り上げられていました。
この曲にはチターの独奏が入り、ウィーン情緒たっぷりで曲も甘くシミジミと味わっていました。
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79年と大昔ですが、ボスコフスキーさんが演奏された時は、
あの「第三の男」のテーマ曲を作曲されたアントン・カラスさんが独奏をされていた事を懐かしく思い出していました。
因みにこの時の収録は世界初のデジタル・ライヴ録音でした。

この日の演奏中はTVバックに流れた映像が「ウィーンの森」を映し出していて、あたかもウィーンにいるような気持ち良い錯覚に陥る事ができました。
三方を森で囲まれたウィーンはどこの森も情緒があって素敵ですし、とても心地よくハイキングが楽しめます。
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最後の「ラデツキー行進曲」では中途半端に演奏が始まりだし、
バレンボイムはあたかも演奏会が既に終わったかの様に楽団員の中へ入って行って、殆どの団員と握手して回っています。
このちょっとシツコイ演出にはフム・・・と呆れてしまいました。

早い事に来年はズビン・メータと既に発表されました。

では皆様には穏やかで幸多き一年であります様、お祈りしています。


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by Atelier-Onuki | 2014-01-02 06:38 | ウィーン | Trackback | Comments(0)