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「ブロムシュテットとバイエルン放送管弦楽団の演奏会」から

演目は
ブラームス : 「悲劇的序曲」
    「交響曲3番」
    「ハイドンの主題による変奏曲」
    「大学祝典序曲」 と云うちょっとユニークな曲順です。

マゼールの演奏会から一夜が明け今夜はブロムシュテットとバイエルン放送管弦楽団との演奏会でした。
演目はオール・ブラームスでしかも「ハイドンの主題による変奏曲」は昨夜と同じ演目なので計らずも聴き比べてしまう結果となりました。
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片や83歳でしたがこちらは86歳と負けていません。
いやぁ~ご老人対決?・・否、大巨匠の聴き比べ・・・贅沢なことです。

この人はアメリカ生まれのスウェーデン人で徹底した「菜食主義者」として知られています。
ですから音楽も自ずから菜食主義的で脂っこさとは無縁のスッキリとしたスタイルで気を衒ったような表現とは無縁です。
絵で例えるならば軽い「淡彩画」の面持ちながら、内容は一杯詰まっていて渋い中にも深い精神が凝縮されています。

先日もベルリン・フィルでのインタヴューでは「語るべきは音楽です。音楽ができるだけ多く、私はできるだけ少なく語る。
それが私の役割だと考えています。」と謙虚そのもので、音楽に貢献をしています。

レパートリーはニールセンを初めシベリウスやグリークなどの北欧物は当然ながら、
ドイツ、オーストリー系の正統派音楽は間違いなく安心して聴くことができます。
唯、派手さや聴き栄えとかからは遠い世界なのでパット聴いただけでは、その良さは伝わり難いかも知れません。

お元気な姿で登場され最初の「悲劇的序曲」はキビキビとした棒さばきで始められました。
響きは引き締まりテンポもグイグイと前へ進んで行き勢いがあります。
バランスなども申し分なくアンサンブルは一糸乱れることなく緊張感が最後まで縦続され一気にクライマックスまで進んで行きました。

次は大好きな3番の交響曲です。
数名の楽団員が入れ替わる間も、彼は楽屋には下がらず指揮台の上で待っていました。

これまた気合が入った引き締まった響きで始められ、曲はグイグイと集中力を保って展開して行きます。
それにしてもこの人はテンポが若々しくキビキビとした棒さばきで気持ち良く引き込まれて行きます。
決して大げさな身振りはないのですが、バトンの動きは鋭くはっきりとした表現です。
あっと言う間に一楽章が終わってしまいました。

楽章の間も完全に止めてしまうのではなく、ある種の緊張感を残したまま二楽章へと入っていきました。
この曲では初めて経験ですが集中力を途切れさすことなく、曲全体の統一感をもって捉えているのだと察せられました。
それ程長い曲では無いので、フムこれはありだなぁと感心しました。

三楽章のあのホルンのソロも渋く溶け込んでいます。
一気に入っていった四楽章でもその進行具合は心地よく、曲が盛り上がる部分でも派手さはなく、
あくまでも引き締まった中身の濃い音楽が鳴り響いています。
そして回想をするように段々と落ち着きを取り戻してきた曲は、
丁寧で静かに静かに緊張感を保ちながら閉じられました。

後半の「ハイドン・バリエーション」も同じように引き締まった素晴らしい演奏で、
その室内楽的な響きを聴いていてフト、ひょっとしてジョージ・セルが生きていたらこんな演奏をしたかも・・・と思えてきました。

ブラームス得意の変奏曲は途中からハイドンの主題は何処に行ってしまったのか分からなく程、複雑に発展していきますが、
最後はまた最初の主題に戻り堂々とした響きの中フィナーレを閉じる名曲です。

フィナーレになってやっと出てくるトライアングルの連打は曲に華やかさを与える様、時には目立つよう手を掲げて鳴らす事もあるのですが、
この日は何処に奏者がいるのか分からない位で、譜面の影に隠れたトライアングルを控えめに叩いていました。

最後の「大学祝典序曲」はブレスラウ大学から名誉博士号を授与された折、祝典式での曲を依頼され作られた作品で、
ブラームスとしてはちょっと明るく遊びの要素も入っています。
生の演奏で聴くのは初めてでしたが、所々オドロオドロした所などもあって面白く聴く事ができました。

まぁ余り色気やロマンチズムは乏しいけど、
とても聡明で清楚なスッピンの美人から内容の深いお話を聞かせて頂いたような心境になった一夜でした。



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by Atelier-Onuki | 2014-02-16 19:23 | ミュンヘン | Trackback | Comments(0)

「ロリン・マゼールとミュンヘン・フィルの演奏会」から

昨夜の演目は
ブラームス : 「ハイドンの主題による変奏曲」
     「ヴァイオリンとチェロの為の二重協奏曲」
シベリウス : 「交響曲2番」 と云う内容でした。
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指揮者のマゼールは稀に見る天才で若い頃からその才能に任せた華々しい活躍をして来られました。
(唯、ベルリン・フィルとの音楽監督問題ではとてもお気の毒でしたが。・・・)

丁度30年前、私がウィーンに居たころは国立歌劇場の音楽監督をされていましたので、彼の演奏会やオペラを観る機会が良くありました。

オペラでは当然ながらプレミエ公演を振る事が多かったのですが、ピットの中ではそれ程目立たないので、時折軽く指揮をしているシーンもありました。
チョコッとキッカケだけ振って、ジットして振っていない所もあったのですが、それでもオーケストラは物凄い勢いで弾いています。

プレミエですから楽団員も殆どは其々のパートのトップが入っています。
もうウィーン・フィルと変らないメンバーでコンマスにもヘッツエルさんが入っていたりして、必死で弾いておられました。
「いや~、こんなに軽く指揮をしているだけなのに、何とまぁ凄い音が出せるものだなぁ~」と変な感心をしたものでした。

そんな彼ですからちょっと暴れん坊的なイメージも付きまとって来ましたが、何ともう83歳と云う大巨匠の域に達していました。

前半はブラームスですが、これはちょっと興味を持って期待をしていました。
それはかつて90年にバーンスタインが亡くなられた時に、当時は未だショルティやジュリーニなどの巨匠が未だ存命中だったにも関わらず、
「これでブラームスを振れるのは俺一人になった。」と豪語したからです。
とは言え確かに彼がクリーブランド管と録音した交響曲は素晴らしい演奏で、一般的にはそれ程評判にはならなかったのですが、
私は3番などとても気に入って良く聴いていました。

さて最初の「ハイドン・バリエーション」はゆっくりとしたテンポで始められました。
かつては時折大きくテンポを動かして変化を付ける事もあったのですが、
この日は終始落ち着いたテンポを変えず、全体を通した印象としては堂々とした大人しい演奏でした。

続く「二重協奏曲」もツボを得た堂々たる物ですが、全体としては大人しく安全運転のまま終ってしまった印象を受け、昔のような活気を感じられませんでした。
それでもバトン・テクニックはしなやかで相変わらず上手いものです。
多分一番上手い一人でしょうね。

後半のシベリウスは、これも昔から得意にしていて、かつて30歳そこそこでウィーン・フィルを相手に交響曲の全曲録音をしているくらいです。

これは打って変わって最初から音楽が生き生きと浮き上がり、次から次へと緊張感をもって変化していきます。
テンポも堂々としていますが活気があるので、音楽が前へ前へと退屈することなく進んで行き、
三楽章から四楽章へ切れ目なしで移って行く様も、堂々と盛り上がって行きさすがと云った演奏でした。
いたる所で重要な活躍をする金管群もけして派手になることはなく、立派に堂々と鳴り響きました。
喝采!!

処で昔々未だ私が子供だったころ、母親がピエール・モントゥーの演奏会へ行ったそうです。
モントゥーは既に82歳だったそうで、「そりゃ両脇を抱えてもろて、ヨチヨチ歩いて出て来はったんやけど、
指揮台に立ったらシャンと別人のようになって指揮してはったんやでぇ~。」と半ば興奮気味に語っていました。

一度その時のパンフレットを見せてもらったことがあったのですが、演目が何と今回と同じシベリウスの2番で、
後になって「こりゃ行きたかったなぁ~」と、つくづく羨ましく思った事がありました。
(この人のシベリウスはレコードで聴いた処では、北欧風の冷たさや荒涼感とは無縁ですが、
暖かい人間性が滲み出た淡々とした中にも音楽的に豊かな演奏でした。)

計らずしも83歳のマゼールで同じ曲を聴く事になったのですが、
昔と違って最近のご老人は元気だなぁと思うと共に、時の流れの速さにも思いを馳せてしまいました。

さて来週はいよいよバルセロナへ出張するのですが、何と彼らもこの演目を引っさげてバルセロナ公演が予定されています。


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by Atelier-Onuki | 2014-02-15 01:07 | ミュンヘン | Trackback | Comments(0)

クラウディオ・アバド「追悼式」 (ウィーン楽友協会)

昨夜も忙しさに疲れ果てて家に帰った処、ウィーンから郵便物が届いていました。
それは楽友協会からで先日亡くなったクラウディオ・アバド「追悼式」の案内状でした。
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かつては憧れていただけで雲の上の存在だった楽友協会からダイレクトメールが来ると、
何時もはウキウキするのですが今回だけはシンミリとした気分になりました。

ここ暫くの忙しさに忘れかけていたこの現実を又思い出して返す返す残念な気持ちになりました。

それにしてもかつて音楽監督をしていたベルリンやロンドンでも「追悼式」が予定されていますし、
この人は本当に皆から愛されていたのだなぁと、改めて感じさせられました。

ロンドン交響楽団のある団員の証言によるとアバドの指揮の元、余りにも音楽が高次元に達し、
感極まり演奏中にも関わらず涙ぐんでいた楽団員を何度も見かけたと云っています。

普通オーケストラはクールに対処しているものなのですが・・・

そう云えば、このオーケストラと録音したあのボレロではクライマックスで興奮した奏者数人が「ワッー!ワッー!ワッー!」と音楽にあわせ奇声を発しています。
収録後、グラモフォンの録音技師が録り直すかどうかアバドに確認をしたそうですが、彼はこれでOKを出したそうです。
興奮の余り思わず叫んでしまったのでしょうが、単純なリズムに同じメロディーが繰り返されるこの曲には陶酔させられる要素に溢れていますし、
実際この演奏は緊張感のなか颯爽としたリズムで段々と盛り上がって行き最高潮の興奮の中、一気にクライマックスの爆発で閉じられる素晴らしい演奏です。

最初ウィーンの音大でハンス・スワロフスキーから学んだ彼は、ウィーンでのデビューも早く若い頃から親しまれて来ました。
その後もウィーン・フィルとの素晴らしい共演も多く、国立歌劇場の音楽監督もされ数々の素晴らしい公演をされて来ましたので
ウィーンの人達にとっても特に愛すべき存在だったのでしょう。
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そう云えばシューマン研究の第一人者である前田昭雄先生もアバドとはウィーン音大で同級生だったとか、
チューリッヒ大学の先生をされていた頃に一度お話をさせて頂く機会があったのですが、
「僕はアバドとメータの同級生なのですよ!」と嬉しそうに話しておられました。
きっと先生も悲しまれている事と思います。

この追悼式には是非出席したかったのですが、残念なことにこの日はバルセロナで、
きっと地獄のように忙しい現場の真っただ中なので離れることが出来ません。

まぁ帰って来たらゆっくりと彼を偲んでCDを聴こうと思っています。
あぁ・・・もう録音でしか聴けないのだ・・・涙!




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by Atelier-Onuki | 2014-02-08 04:38 | ウィーン | Trackback | Comments(3)

「束の間の散歩」

もう3週間後に迫ったバルセロナでのイベントの準備で、ここ暫くは週末まで仕事を持ち込んでしまうほど差し迫って来ました。
それは私だけでなく一緒に担当している会社の同僚や、協力会社の人達も同様でドイツ人やスペイン人までも巻き込んでいます。
特にドイツ人の建築家とグラフィック担当者はちょうどアムステルダムで別の現場へ行っている状態ですが、
それでも夜ホテルに帰ってから作業をしてくれています。
以前は考えられなかったことですが、ここ十数年の間にドイツ人社会も仕事に対する姿勢が変わってきたようです。

そんな折、今日土曜日は久しぶりに陽がさしてきて、それも天気予報によると午前中だけです。

慌てて大事な要件だけを連絡して散歩に出かけました。
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川原まで下り、今日は本流と運河に挟まれた土手を街の方へ向かって歩きました。
お天気に誘われてパラパラと人が歩いたり走ったりしています。
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小路に沿ってどちらを見ても水が流れているので気持ちの良い散歩です。
川沿いの動物園辺りには餌の残りが流れて来るのか何時も沢山の水鳥が生息しています。
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この辺で一休み・・・川原を出て日向のベンチでカプッチーノを頂きました。

街まで出てブラブラと、通勤の途中で時々通る所にある古くて素敵な中庭にやって来ました。
何時もは通り過ぎるだけなのですが、ちょっと気になったので門の横に掛かっている看板を見てみると、
そこには「Der Alte Hof」と書いてあり、説明を読むとここはかつて皇帝が住んでいた古い館でした。
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それは十三世紀に建てられたミュンヘンで最初の皇帝ルートヴィッヒ四世が住んだ館で、この街でも一番古い一帯でした。
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中庭を通して反対側の門のすぐ先にはオペラハウスが見えています。
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更にその先は新しい宮殿レジデンスがあって、その中の劇場でモーツァルトの「イドメネオ」を初演しています。
先ほど入って来た門のすぐ近くには彼が滞在していた家が、今は百貨店になっていますが、その旨の銅板が取り付けられています。
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彼もきっとこの中庭を抜けて劇場に通っていたと思うと感慨深い物を感じます。

さて、この館自体はミュージアム・センターになっていて、ミュンヘンにある全ミュージアムの案内をしています。
それにバイエルン州全土のミュージアムのパンフレットまで揃っていて自由に取ることができます。

館内にはミニ・ショップもあってお洒落な内装です。
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更に地下はこの館に関するミュージアムになっていて、何と入場が自由です。
閑散とした空間で、ここもお洒落なコンセプト。
三箇所のプロジェクターがスクリーンやレリーフに映し出され、十三世紀から今日に至るこの館の歴史を紹介していますが、
その内容によってあちこちから解説や音楽が流れてきます。
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展示も実物の貨幣やフォログラフによって立体的な構成です。

壁際に立っている昔は馬か何かを止めておいた金具のリングを持ち上げると、当時のこの中庭での色んな生活音が流れる仕組みになっていました。

こんな興味深い内容にも関わらず殆ど人の出入りがありません。

これを維持するだけでも大変だなと思いますが、こんな所でもこの街の行政はお金持ちだなぁとつくづく感じさせられました。

すっかり堪能して外へでると、ショボショボ雨が降っていました。
今日の天気予報は見事に当たったようです。


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by Atelier-Onuki | 2014-02-03 04:00 | ミュンヘン | Trackback | Comments(0)