<   2016年 08月 ( 2 )   > この月の画像一覧

ビゼー「アルルの女」から第1組曲 (ドイツ・ニュース・ダイジェスト8月のコラムから)

a0280569_22132829.jpg
 

夏が来ると聴きたくなる曲にジョルジュ・ビゼーの名作「アルルの女」があります。

これはアルフォンソ・ドーデがプロヴァンスで最後に残った風車小屋を譲り受け、
ここからパリへ送り続けた短編集「風車小屋だより」の一つ「アルルの女」から戯曲化されたお芝居の付随音楽として作曲されました。

短い話にも関わらず、作品の題名である「アルルの女」が登場しないこのお芝居は、人々に感銘を与えました。

ただ、予算とスペースの制約から劇場版はオーケストラの編成が小さく、
そのことに不満を持っていたビゼーがフルオーケストラ用の組曲として編曲してから人気作品になります。

組曲は第1と第2の各4曲で、第1はビゼー自身によるものですが途中で亡くなったため、
第2は友人のエルネスト・ギローの編さんです。
 
力強く荘厳な民俗音楽風に始まる「前奏曲」は、プロヴァンスの明るく力強い太陽を連想させますが、
同時に悲劇の影もにおわせています。

後半に入りサクソフォンによる甘いメロディーへと移り、穏やかな農村風景やけだるい夏の午後が連想されます。

軽快な民族舞踊風に始まる「メヌエット」は流麗な弦楽のメロディーへと移り、青い大空をバックに田園風景が広がっていくようです。

その上に浮き上がるようなハープが爪弾かれると、柔らかく木管たちが絡まり、
まるでミストラル(フランス南東部に吹く北風)に吹かれ流れている雲が目に浮かぶようです。 

曲は一変して静かな「アダージェット」へ。弦楽が穏やかで甘いメロディーを奏でます。
バルタザール老人がベンチに座り、フレデリ(アルルの女に恋をし、嫉妬のあまり自殺をしてしまう地主の息子)に昔話を聞かせるシーン。

若い頃雇われていた農家の夫人と相思相愛になりますが、事情が許さずこの農家を去ったが、
今も思い出すと涙が出てしまうと話す場面で、甘くも切ない物語です。
 
さらに曲は一変し、高らかなホルンの刻みによって鐘の音を表現する「カリヨン」へ入ります。

これはアルルにあるサン・トロフィーム教会の鐘楼で鳴る鐘をイメージしているのでしょうか。

このシーンではいつも、ゴッホの「アルルの見える花咲く果樹園」を思い浮かべます。

ミュンヘンの美術館、ノイ・ピナコテークにある一枚でポプラ並木の向こうにアーモンドの花咲く農園が広がり、
この鐘楼と共にアルルの街並みが描かれています。(続く)
a0280569_22135840.jpg



by Atelier Onuki
~ホームページもご覧ください~

応援クリックありがとうございます!

人気ブログランキングへ
[PR]
by Atelier-Onuki | 2016-08-20 22:14 | 音楽 | Trackback | Comments(0)

Linn城とブラームス

先日あるブログを読んでいたら、デュッセルドルフ近郊Krefeld(クレーフェルト)の
Linn城という砦と館からなるお城にブラームスが訪れたことが記されていました。
a0280569_0383688.jpg

この町へはかつて仕事の関係でよく訪れていましたが、町を探索したことなどなくて、まさかお城があるなんて全く知りませんでした。

まぁドイツは歴史的に小さな国の寄り集まりなので、思いがけない所で小さなお城に出くわす事が多いです。

このクレーフェルトはルール工業地帯の一角に位置し、かつては絹織物で栄えた町だそうです。
このブログを書くために、クレーフェルトについてちょっと調べてみましたが、何とこの町の出身者には、
あの世界的ブランドの創始者で馬具職人だったディエリ・エルメス(フランス人とばかり思っていた。)を初め、
現代美術家のヨーゼフ・ボイスや、荒川静香さんの代名詞的な演技の創始者イナ・バウアーさんと錚々たる顔ぶれが並んでいました。

さて、路面電車に乗り込みこの隣町を目指しました。
Linn城へはクレーフェルト中央駅で別の路面電車に乗り換えると15・6分で到着しました。

ここはごくごく小さな城下町でそれ以外は公園や畑が連なっている長閑なところでした。
町の入り口には地図の看板が立っていますが、町は完全に城壁で囲まれていて典型的な城下町の形態をしているようです。
a0280569_0391371.jpg

さて、城門を潜り城内へと入りましたが想像以上に立派な敷地に砦と、
後から建てられたであろう黄色い館との構成になっていました。

早々にチケット売り場へ歩を進めましたが、パラパラと訪問者が集まっています。
入場料を取っている所は整備も良く、それなりに見るべきものもあるので、これはちょっと期待が持てます。
a0280569_0403336.jpg

最初は館の方から入ることにしました。

一階にはキッチンや食堂に大広間がありましたが、どの部屋も調度品が素晴らしく品良く配置されていました。
a0280569_0411588.jpg

a0280569_0413728.jpg

木の階段を上がると応接間や寝室、この階にも大広間がありました。
最初の応接間では真っ先にブラームスの肖像写真が目に飛び込んできました。
a0280569_042040.jpg

その写真を中央にこの当時の夫妻の肖像画が挟むように飾られていました。
a0280569_0421178.jpg

ブラームスは1880年の1月にここを訪れているのですが、
この当時は交響曲の3番辺りを作曲している頃(47歳)で彼の絶頂期だったのですね。
多分、この頃はウィーンに住んでいたはずで、遠い所をワザワザ訪ねてきたのでしょう。
尤も、若い頃デュッセルドルフに住んでいたシューマンを訪ね、
暫く住んでいた経験があったので、このクレーフェルトにも親しみを感じていたのかも知れません。

この当時の領主Linnさんは音楽家だったそうで、
シュトットガルトの音大で教授をしていた程ですから本格的な音楽家だったのでしょう。
そのせいか部屋という部屋にはありとあらゆる種類のピアノや楽器が展示されていました。
a0280569_042329.jpg

ブラームスは3年後の1883年にこの滞在の返礼として「6つの合唱とオーケストラ曲」を献呈しています。
その楽譜は写真の隣に展示されていました。
a0280569_0424653.jpg

さて、タップリと展示を見学し、砦へと向かいました。

ここは小ぶりながらレンガ作りの重厚な佇まいです。
木製の橋を渡り場内へ入りました。
a0280569_0432037.jpg

係官の説明通り先ずは塔へ登ってみました。
狭くて勾配のキツイ螺旋階段を登りきると、心地よい風に吹かれ見晴らしの良い景色が広がりました。
遠くデュッセルドルフの街並みも望めます。
a0280569_043446.jpg

a0280569_044749.jpg

a0280569_0441619.jpg

暫く風を堪能した後、階下の展示室へと向かいました。
最初の大広間はさすが砦だけに殺風景です。
この砦が出来た歴史をイラストで説明していましたが、
1150年に基礎が作られ段々と増築され1500年には今日の様な砦を形成したようです。
a0280569_044416.jpg

別の部屋では当時絹織物で栄えていたころの織機などが展示されていて興味深いものでした。
a0280569_044578.jpg

砦を後にし正面の城門から町へと出ましたが、この瞬間の景色は中々味わいの深い古い建物が並んでいます。
a0280569_045204.jpg

暫く、城下町を散策しましたが、ちょっとした観光地を目指しているのでしょうか、
どの家も申し合わせたように玄関先は綺麗に花々で飾られていて、その努力を伺わせます。
a0280569_04649.jpg

a0280569_046215.jpg

とても小さな町であっという間に一周してしまいますが、ちょっとタイム・スリップをしたような錯覚に陥れ、楽しむことができました。
a0280569_0463739.jpg





by Atelier Onuki
~ホームページもご覧ください~

応援クリックありがとうございます!

人気ブログランキングへ
[PR]
by Atelier-Onuki | 2016-08-11 00:46 | デュッセルドルフ | Trackback | Comments(0)